飛鳥さんから<Nocturne. Op-5>


Nocturne. Op-5




吹き抜ける風の音
ざわめく木々の声
寒さに凍りついたあたりの空気が
耳のまわりでガラスのような音を立てる

歩いていくその先には、白い砂浜の続く海岸
あたりには深い沈黙の影が降り
どこまでも続く波の音と潮の香りがただ
この青い世界を支配している

波打ち際には白い泡が
無数の小さな花を形づくる
沖の方には夜空の月と星の影が映り
海全体をやさしく輝かせている

少女はここで立ち止まり
小さな箱を取り出した
美しい装飾を施された小さな箱
壊れかけたオルゴール

少女は底のネジを回すと
海の方へ向けて蓋を開けた
それと同時にあたりに流れ出す
暖かくて哀しげなメロディー

ふたたび風が吹きはじめ
オルゴールの音色をあたりに響きわたらせる
氷のような青い沈黙の世界は
暖かい色へと次第に変わっていく―――

それはまだ寒さの残る早春のこと―――



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飛鳥様から戴きました。余計なことは言いません…味わってくださいませ。

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